2014年4月29日火曜日

東洋経済の記事に思ったこととか。

今日、東洋経済ONLINEに掲載された

「ゲーム機はいらなくなる?ストラタスの破壊力iPhone用コントローラーにヒットの兆し」

という記事に思うところ……というか突っ込みどころ満載だったので、自分の考えをまとめる意味でもここに書いておこうと思った。


とりあえず、Stratus WirelessをiPhoneのコントローラーであるようなことが書いてあるが、これはsteelseriesのWebページを見てもわかるように、iPhoneではなくiPadでの使用を前提に作られている。

普通に考えて両手が塞がるコントローラーを握った時に4インチのiPhoneはどこにあるのか、という冷静なツッコミはここではやめておく。
まあそんな感じの記事なのだが、一般的なゲームをやらない人(少なくともこの記事を書いた記者)はゲーム業界はスマートフォンに集まっていっているという認識であるということが解りやすく表されている。


昔の話になるが、初代iPhoneが日本で発売されなかったこともあり、私のはじめてのiOS(当時はiPhone OS)は初代iPod touchだった。
当時、有料アップデートだったiPhone OS 2.0を経て、ようやくiPhone用のゲームが登場した。
当初はブロック崩しのようなオーソドックスなものから始まり、初のオリジナル本格アクションゲームとされた『Kroll』や、加速度センサーを利用したバイクレースゲームの『Moto Chaser』が登場した。

画像は『Kroll』

カプコンやコナミなどもフィーチャーフォン向けのタイトルをiOS(iPhone OS)に投入し始め、その後の2009年末に発売されたRovio Entertainmentの『Angry Birds』で、スマートフォンのゲームが一般にも支持されるようになったと記憶している。


現在、様々な会社が毎日のようにiOS、Andoroid向けのスマートフォン用ゲームを販売している。
ゲームにおいてWindows PhoneやBlackBerryはまるで空気だが、今回はそっとしておこう。

そして、去年末から今年にかけてのiPhoneのゲーム用コントローラーラッシュ。これは、去年Appleがようやく重い腰を上げてゲームコントローラー用のSDKを公開したからなのだが、スティーブ・ジョブズが生前にコントローラー不要論を唱えていたなどの影響からと思われる。

と、iPhoneに関してだけならこのような状況であるが、スマートフォンの世界シェアNo1のAndroidでは、もう3年以上も前から欧米でゲーム用コントローラーは発売されている。
しかも、iOS用のコントローラーが軒並み78ドル以上なのに比べ、20ドルから50ドルほどの価格である。
一部のAndroidタブレットに至っては、Xbox360のコントローラをさせばそのまま使うことも可能だ。

画像はMOGA製のコントローラー

そしてゲームに特化したAndroid端末の走りとして2011年にSony Ericssonより「Xperia Play」が発売されており、現在それらの流れを組むゲーム専用Androidタブレットとして「Wikipad」や「Archos GamePad」などが既に市場に出ている。

画像は上記画像が「Xperia Play」、下記画像が「Archos GamePad」



つまり、ゲームコントローラーとスマートフォン用ゲームの関係は既に3年以上続いているのにも関わらず、(少なくとも北米では)PS4やXbox Oneの販売状況が好調であるという事実は、コンシューマー機が健在であることを示している。

ついでに書くと、今回Appleが正式にゲームコントローラー用のSDKを発表する前の2011年には「60beat® GamePad」というイヤホンジャックに差すタイプのコントローラーと、2012年に今やスマートフォンゲーム会社大手となったGameloft製のコントローラー「Duo Gamer」などがiPhone/iPad用として販売されていた。

上記画像は「60beat® GamePad」、下記画像が「Duo Gamer」



しかし、これらを使ってゲームをプレイするためには、アプリ側が個別にコントローラーに対応する必要があった為に対応ゲームが少なく、どちらも対して話題にならないまま市場から消えてしまった。

そういう歴史からも、iPhoneで100ドルに近い価格のコントローラーが発売されても、現在のコンシューマー機を揺るがす存在になるとは思えないのだ。

もっといえば、スマートフォンゲームの人気はその手軽さにあると思っている。
今や生活必需品となったスマートフォン。
誰もがいつも持ち歩いており、ふとした空き時間にネットやゲームができる手軽さである。

ゲームをプレイしたいが為にスマートフォンを持っているものなどごく少数だと思う。私は『クリムゾンドラゴン』と『Halo』のゲームがしたくてWindows Phone8端末を購入したが、そんなことはまあどうでもよい。

さらには、現在のスマートフォン用のゲームは成熟しつつあって、タッチパネルに特化したゲームデザインのものが多いように感じる。
実際にコントローラーが欲しくなるゲームは、『GTAシリーズ』や格闘ゲーム、『ドラクエ』、『FF』などコンシューマからの移植が多い。
世界的なヒットになった『Angry Birds』や日本で今もヒットしている『パズル&ドラゴン』などは、完全にタッチ操作に特化している。

私は物理キー派だったので、これまでiPhoneやAndroid用のゲームパッドをいくつも模索して来た。『fling』というタッチパネルに吸盤で貼付けるジョイスティックなどももちろん試した。

fling

しかし、いろいろ使って気づくのは、これは「スマートフォン」なのだということ。タッチパネルにゴテゴテ付けては、電話がかかって来た時に対応し辛いし、ネットサーフィンすら容易ではなくなる。

ソフトに関しても、現在の状況でコンシューマ機に匹敵するゲームをiPhoneやAndroidでリリースすることは可能だと思う。しかし、ゲーム1タイトルの容量が3GBになったり、最高のグラフィックスを描くためにバッテリーの消費量が大幅に増えることを考えると、そもそものスマートフォンとしての使用が制限されてしまう。

そうなると、スマートフォンとしての「手軽さ」が全く無くなってしまうのではないだろうか。

「ネットサーフィンやメールができる電話」だからこそいつも持ち歩いているのであり、それで「ゲームができる」からこそゲームをプレイする人口が多いのだと思う。



ロジクールやMOGAの装着するタイプのバッテリー内蔵コントローラーはそれらをクリアしているように見えるが、ケースがマイクを塞いでしまっていたり、iPhoneが非常に大型化してしまうので、ポケットに収まらないなど持ち運びの「手軽さ」は大きく損なわれることになる。

それに、スマートフォンではゲームをプレイする時間より、ネットサーフィンやメーリングアプリを使う時間の方が一般的には長いと思われる。
そんな状況でコントローラーをずっと装着したままの人はそんなにいないのではないだろうか。

少なくとも、私はこれまでニューヨークの街でそんな人を見たことがない。まだGoogleグラスして歩いてる人の方が多く見かける。

タッチパネルの端末でのゲーム体験で最も「手軽」なのがタッチ操作であり、コントローラーは装着する手間や別に持ち運ぶ手間など、「手間」が発生する時点で「手軽」とは言い辛い。そういうものが、スマートフォンでゲームをしている一般的なユーザーに易々と受け入れられるとは私は思えないのである。


結局、何が言いたかったかというと、スマートフォンのゲームと、ゲーム専用機のゲームは全く違う思想のもとにあるのではないかということ。
映画とテレビドラマの構造や構成が似ているようで違うように。

そして、最近の経済紙の風潮はそれらを混同している感じがしてならない。

家庭用ゲームとPCゲームが分かれているように、スマートフォンのゲームもまた分かれているのではないか、ということが言いたかったのである。

まあ、一個人の意見としてこんな考えもあるということで。


ほななー!




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