どんな感じかわかるプレイ動画
はい。とうことで、北米では8月18日に発売されたPS Vita版『バイオハザード リベレーション2』だが、日本でもやっとリリースを迎えたようだ。
『MGSV:TPP』や『ギアーズリマスター』などと並行してぼちぼちプレイしていたのだけど、とりあえずレイドモードクリアまで行かずにやめることにした。日本リリースに合わせてパッチは配信されたんだけど、劇長ロード中にゲームが進行して、裏で敵にボコられてゲームオーバーになるという致命的なバグは一切治ってなかったし、ゲームプレイを不快にさせる低フレームレートと超長ロードが修正されなかったからなのだが。
『バイオリベ2』は、Xbox OneとPCでプレイしており個人的にはシリーズのなかでも大好きなタイトルだ。で、Vita版が出るということで、メインでやっていたXbox Oneのレイドモードはそこそこでやめて、Vita版でやりこむつもりだった。3DSで出た前作のレイドモードも、職場に3DSを持ち込んでワイワイやっていた思い出もあって、携帯機でやりこみたいと言う思いがあったのだ。
海外ユーザーによるロード時間の検証動画
しかし…しかしだ。さすがに低フレームレートにより、まともにエイムできないような状況ではモチベーションは保てなかった。あと、レイドモードでのロード地獄は正直ストレス以外の何物でもない。お前はネオジオCDか!?ってくらいロードが長い、マジで。出かけ先やベッドでゴロゴロしながら気楽にプレイ……なんて、そんなんできんわっ!!携帯機の利点ないやん…。
その他の愚痴としては、レイドの前作ステージや敵キャラが、解像度こそ3DSよりは高いのに、ライティングやテクスチャは大きく劣化していたことが悲しかった。一旦、HD用にリマスターしたものをまたVita用に調整したためだとは思うが、3DSよりもグラフィックが汚く見えてしまうのはさすがにいただけない。しかも、ソニー直々に移植しておいて、だ。
完全に3DS用に作られた前作と違って、モーションといったプログラムが据え置き機用に最適化されている『バイオリベ2』をVitaに落とし込むのは並大抵のことではないと思う。グラフィックパワーだけでなく、CPUやメモリとの戦いになるだろう。
だが、このVita版『バイオリベ2』は、納期に間に合わせたかったのか、そもそも予算が足りなかったのか、その戦いから避けてきてしまったのではないかという残念な完成度となっていた。残念を通り越して、ファンとしてはただただ悲しい。
PS VitaでSCEA傘下のゲリラゲームズが見せた傑作『KILLZONE: Mercenary』は本当に凄かった。美しいグラフィックをドットバイドットでの表示を可能にしつつも全く低下しないフレームレートや最適化された操作性とか、PS Vitaの可能性を見せつけるものだった。『Need for Speed: Most Wanted』も、据え置きとのマルチだったが、そのゲーム性を損なうことなく完璧にVitaに落とし込んでいた。だから、Vitaは3DS以下の低性能だなんて思わないし、もっと可能性を感じていたのに、Vita版『バイオリベ2』は完全にセルフネガキャンになってしまっているのも悲しすぎる。
あー、もう…。愚痴大会になってしまうので、もうここでやめよう。とりあえず、なんでこういう状況になっているのか、自分の推察も含めて整理してみようと思う。
まず、PS Vitaは、3DSに押されているもののそこそこの地位を確立している日本市場と違って、北米市場では完全に死んでいる。日本市場におけるXbox Oneと同程度といえばわかりやすいだろうか。かといって、日本で一般時に考えられてる「欧米は据え置きメインだから携帯機が不人気」というは実は違っていて、3DSはかなり売れている。なんだかんだ、アメリカでも『ポケモン』はミリオンを軽く超えるレベルだし。
じゃあ、なんでPS Vitaは売れないのかっていうと、発売当初のゲーマーにだけアピールしたタイトルラインナップと、安くない価格(本体+メモカ代)が原因だと思うが、これは正直、初期段階は売れなかった日本と一緒だろう。北米のゲーマーは30代が最も多いとされ、彼らはある程度お金を持っている層となる。3DSのメインユーザーであろうテレビを独占できない子供たちと違って、30代は1人暮らしでもそこそこ広い家に住み大型テレビを持っている。この時点で、据え置きからのスピンオフや移植が多いVitaを買うメリットが弱くなっていたのだと思われる。
日本で息を吹き返したのは、PSPから続いていたキャラゲー人気や美少女系ゲーム、『ゴッドイーター2』などへの中高生から20代に向けたラインナップや、コロコロを中心に低年齢層にブームを起こした『マインクラフト』による恩恵が大きいのではないだろうか。
この要素が北米では全くないのだ。小学生たちは『マインクラフト』を家にあるPCでやるのが一般的だし、『ゴッドイーター2』のような狩ゲーはそもそも浸透していないし、アニメ調のものを求めるユーザーも全体的に見るとそこまで多くはない。
個人的にはアニメ調のゲームは、以外と北米では受けていないという印象なんだけど、それは、北米でミリオン売れるアメコミ原作ゲームが、日本では2万本も売れないのに似ている気がする。
それなのに、現在の北米でのPS Vitaのラインナップは日本産のアニメベースのガラパゴスタイトルと、インディータイトルがほとんどを占めているのだ。ちなみに携帯機だから売れないのだ、ということで発売したPS Vita TV(北米ではPS TV)だが、これも北米ではまったく売れていない。携帯機だからとかそんなのではなく、完全にコンテンツ不足だということを明らかにした。
それで、日本ではガンガン新しい(アニメベース&美少女)ゲームが出てるが、それらは欧米では売れないものばかりであるため、新規ユーザーを取得を目指して、2014年に据え置きで大ヒットしていた『Borderlands 2』をVitaに持ってきたのだろう。正直、北米ではこの移植は結構盛り上がった。
だが、発売が近づくにつれ、厳しい評価がゲーム系メディアに溢れるようになって、発売とともに死亡した。調整不足によるバグやフリーズ、場所によっては常時15fps以下になる低フレームレート。それらは、おそらく、SCEAがVitaにリソースを割くことが難しくなっていたことが原因のかもしれない。β版…いや技術デモ版といっても過言ではないくらいの酷い移植によって、PS Vitaの北米での立ち位置は完全になくなった。ただ、それでも欧米での手駒を増やしたくて『バイオリベ2』の移植に手を出したのではないだろうか。
しかも、災難なことに、SCEA主導でつくられたこの残念版『ボダラン2』は、日本ではオリジナルを手がけた2Kによる販売となり、国内ユーザーは2Kに責任を求めるという事態が発生していた。2Kとしては、多分どうしようもなかったのではないだろうか。
そして、これと全く同じことがVita版『バイオリベ2』でも起こっている。北米ではダウンロードのみの販売ということもありSCEAがパブリッシャーなのだが、日本ではオリジナルの開発元であるカプコンが行っている。これまた、ユーザーの不満がカプコンに行くだろうが、カプコンとしてはどうしようもならないだろう。なんか、SCEJAが(勝手に)作った『MH 3rd HD』の騒動を思い出してしまう。
ということで、いってしまえば北米ではVitaは空気だ。GameStopのVitaコーナーもかなり小さいし、試遊台は結構前に撤去された。買い手のないVita TVは実売40ドルほどになってしまっていたりする。
TGS 2015だったか、その前のカンファでSCE盛田社長が言った「Vitaは特定の需要だけでやっていく」という言葉からも、2013年以降海外向けにSCEが新作を作らなくなった理由が推測できる。自分が好きな硬派な海外製アクションやシューター、ホラーアドベンチャーは今後Vitaでは出なくなるのだと思われる。
なんというか、シューターファンの心をときめかした左右のアナログスティックは、今後どんな使われ方をしていくのだろうか…、そんなことを思いながら、冬のガンダムVS新作を楽しみに待ってます……。