2014年2月23日日曜日

ALAN WAKEレビュー 〜ゲームとテレビドラマの狭間〜


私が初めてホラーゲームというジャンルに触れたのは、初代PSの『バイオハザード』だった。友達の家で初めて触れた瞬間から虜になり、セガサターン派であったがこの為だけにお金を貯めてPSを購入することになった。
今でもたまに三人称のホラーゲームを無償プレイしたくなることがあり、いまさら感が強いがSteamのセールで購入したまま積んでいたALAN WAKEをようやくプレイした。


ALAN WAKEは、Remedy Entertainmentが開発しMicrosoftが販売を行った2010年度のXbox 360用アクションサイコスリラーゲームで、2012年にPC版が発売された。Xbox360版との違いはグラフィック以外にはほとんどないと思う。

さてこのゲーム、ストーリーは開発者自身が語ってるようにスティーブン・キングの作品に大きくインスピレーションを受けて制作された作品だ。
ベストセラー作家のアラン・ウェイクが、スランプに陥ってしまい、妻と一緒にニューヨークからブライトフォールズという片田舎に旅行に来るところから物語は始まる。とある事から妻が行方不明となり自身も1週間の記憶が無くなってしまう。それには『闇』の存在が関わっていた…という内容。
キングのいろんな小説の要素を合わせたような設定だが、それらをうまくゲームに落としこんでいる。敵は『闇』であるので、主人公のアランは懐中電灯やさまざまな灯りを武器に戦う。


雰囲気的には『バイオハザード』よりもSCEの『SIREN』に近いと思う。敵も人の姿はしているが、言動や行動が異様である。でも、正直怖くはない。ホラーでおっかなびっくりというよりは、不条理的な違和感で楽しませるものだと思う。その点がSIRENと構造が似ていると感じた。(※SIRENが怖くないかどうかは個人差があります)



アクションは、バイオハザード4などに近いゲームシステムだ。目的地に向い、その途中敵と遭遇したら戦う。敵は闇をまとった幽霊みたいなもので、懐中電灯で覆っている闇を打ち消してから銃で倒す、というのが基本的なアクションである。
しかし、敵の種類が人、カラス、ポルターガイストの3種類しかいなく、だいたい懐中電灯を当てて、人型はその後に銃で撃つ、の繰り返しばかり。ボス戦的なものもない。武器も弾薬も簡単に手に入るのでアクションとしては非常に単調だ。フィールドも基本的には一本道に近く、ちょっと横道にある隠しアイテムを探すくらいの探索しか出来ない。正直、バトルは面倒くさいレベルである。


アクションが単調な反面、物語は非常によく出来ており、細かく作り込まれたグラフィックや世界観はとても魅了される。特にPC版はマシンスペック次第で恐ろしく綺麗になる。あとこのゲームの特筆すべき点は海外ドラマ的な演出である。古くある手法ではあるが、アメリカのドラマ風の物語ととても相性が良く、エピソードが終了するたびに次が気になってしまうのだ。
そして始まる「前回のアラン・ウェイクは…」という演出。これはそのままバイオハザード:リベレーションズも模倣してたね。


あと、ゲーム内のテレビをつけると、実写ドラマ『Night Springs』や、意味深なアランさんの映像が実写で映し出される。初代バイオハザードが大好きだった理由の一つが、ムービーが実写だった点だ。すごい!なんて映画っぽいんだ!と当時は思ったものである(例え多摩川の土手で撮影されていようと)。なのでこういう演出は、ゲームと現実の境界をあやふやにさせるようでワクワクする。
ちょっと残念なのが、劇中に流れる実写ドラマ『Night Springs』は恐らくゲームのスタッフが作っていると思うのだが、想定線無視だったりとやや稚拙な映像になっている点だ。ドラマや映画を意識しているのに、これはなんかもったいなかった。因に続編の『Alan Wake’s American Nightmare』ではデモシーンはほぼ実写になっているが、きちんとした映像になっている。
そして、Remedy が今手がけているXbox One用のタイトル『Quantum Break 』が、実写ドラマとの融合がテーマとなっているのだから、この路線で順当に進化しているのだなあと思った。



個人的に面白かったのが、アランが使っているスマートフォンがアメリカの携帯キャリア大手のVerizonだったり、アイテムとして手に入るバッテリーがアメリカでは一般的なEnergizerだったりと、現実とのクロスオーバーが物語の説得力を高めてくれているように感じた(日本でも『龍が如く』とかが良くやってるね)。なんかにやりとしてしまう。因にVerizon、画像のように看板や、とある場所のテレビでCMを観ることが出来る。

アクションゲームとしては微妙だけど、物語の見せ方が抜群にうまく、それ故に良ゲームだと思う。ゲームを続けたくなるモチベーションは、ゲーム性だけでなく物語性も非常に重要なんだなあと改めて感じた一本であった。

そんじゃーね!